弘前のB級グルメを紹介
桜の名所・弘前城、青森最高峰の岩木山、ねぷた祭を体験できる津軽藩ねぷた村など、弘前には観光スポットがたくさんある。
観光で忘れてならないのがグルメだ。
高級食材を使った料理もたまにはいいが、弘前まで足を延ばしたら、ぜひB級グルメを食べて欲しい。
安くて美味しく、気軽に食べられるB級グルメからは、地元の人々の温もりが伝わってくる。
弘前のおふくろの味いがめんちを味わう「菊富士本店」
「いがめんち」はイカメンチが訛ったもので、弘前地方で昔から食べられているB級グルメである。
弘前は内陸なので、冷凍技術のなかった時代、イカは貴重な食材だった。
無駄なく調理しようと、ゲソを細かく刻んだ野菜や小麦粉と混ぜて焼いたり、揚げたりして食べたのがいがめんちの始まりである。
けっして華やかな料理ではないが、そこには昔の人の知恵が詰まっている。
「菊富士本店」は1927年創業の老舗で、いがめんちの他、「帆立の貝味噌焼き」や「けの汁」など津軽料理が味わえる。
幻の津軽そばを食べるなら「三忠食堂本店」
映画「津軽百年食堂」の舞台となった蕎麦屋「三忠食堂本店」は、創業1907年の老舗である。
津軽蕎麦は、もともと農家が畑仕事の合間にサッと作って食べられる軽食だった。
普通の蕎麦は蕎麦粉と小麦粉で作るが、津軽蕎麦は蕎麦粉に大豆粉や、水に浸した大豆をすりつぶした呉汁と呼ばれるものを加えて熟成させるのが特徴だ。
熟成させるため時間と手間がかかる津軽蕎麦は、時代の流れとともに一度は姿を消したが、幻の津軽蕎麦を復活させようと地元有志たちが調査を重ね、平成に入り復活したのだ。
三忠食堂の津軽蕎麦は、蕎麦粉に大豆粉を加えており、出汁には焼き干しと昆布を贅沢に使用している。
具はシンプルに、刻みのりとナルト、そして刻みネギだ。
琥珀色の出汁は旨味が強い。
一般的な蕎麦のようなコシはなく、口に入れたとたんにホロホロ崩れるほど柔らかい麺だ。
力強い蕎麦粉の味に、大豆のまろやかな風味が加わって、なんとも優しい味わいである。
弘前ブランドとうもろこしを使った嶽きみを天ぷらに「なじみ」
「なじみ」では、弘前市の嶽高原で栽培されているブランドとうもろこし「嶽(だけ)きみ」を使った料理が人気である。
「きみ」とは津軽弁でとうもろこしのことで、嶽高原のとうもろこしだから嶽きみというわけである。
この嶽きみを、その辺のとうもろこしと一緒にしてはいけない。
驚くほど甘くてジューシーなのだ。
嶽きみ天ぷらには抹茶塩が添えられているが、そのままで十分に美味しい。
いや、むしろそのままが良い、無駄な味つけはいらないと思わせてくるのが特徴だ。
地元ならではのニシンの切り込みやリンゴ酢ハイボールなど津軽料理を、この店では津軽三味線の演奏を聴きながら堪能できる。