山間にひっそりと佇む秘湯の「白骨温泉」

北アルプスの麓に位置する自然いっぱいの温泉地「白骨温泉」

北アルプス、飛騨山脈の緑多き麓にある温泉、白骨温泉は鎌倉時代からすでに湧出していたとされる歴史深い温泉だ。
温泉宿ができたのは何と元禄年間、この時代には温泉場ができていたというからこの温泉の歴史がいかに古いか想像できる。

白骨温泉は乳白色の湯として現在知られているが、湧出当時は無色透明だったそうだ。
しかし、時間が経つほどに白濁し今では乳白色の湯として有名になっている。
この白濁の理由は温泉の中に含まれる硫化水素が硫黄と結び就くことによるもので、重炭酸カルシウムが炭酸カルシウムに変わることで白くなるという。

「白骨の湯に三日入ると三年風邪をひかない」といわれてきて効能豊かな湯で、胃腸病や婦人病などに効能があるとされる。
山の奥深く、緑以外に何もないところだが、その緑の美しさが心をホッとさせる要素だ。
昔はあまり見られなかったが、近頃白骨温泉に行くと若いカップルなども多く見かける。
現代の子どもにとっては遊ぶ施設などがないのでつまらないかもしれないが、夫婦二人、新婚カップルなどには最適な場だと思う。

飲むことで健康効果があるとされる白骨温泉の湯

妻は少々華奢な作りで胃腸がもともと弱いため、白骨温泉の湯は特別と思っているようだ。
この白骨温泉の湯は、硫黄と炭酸成分を含んでいるが、飲むことで消化器系の血流がよくなり消化器が弱い人にも効果があるとされている。
既に常連となっているため、飲んでもいい旅館の湯をいつも飲んでくるのだが、自宅に帰ってからもしばらくは調子がいいようだ。

最近は飲泉所が作られているので、ここでポットにくみ持ちかえることもある。
腸内環境がよくなるのか、食が細い妻も食事がしっかりできるようになるので効果があるのだろうと思う。
ちなみに飲むことで腸内の働きが活発になるため、便秘にも効果があるとされている。

自然はこんなにも美しいと実感させてくれる

山深い温泉は景色も日頃頑張っているご褒美のように感じるものだ。
白骨温泉は四季を通じてとにかく美しい景色を見せてくれるので、いつでもふと行きたくなる温泉といえる。

春は美しい薄緑の風景になり、足元にはふきのとう、ワラビなど春を告げる三歳の宝庫だ。
人の手が入っていない山桜の自然な美しさにも心惹かれるが、厳しい冬を終えて一斉に命が芽吹く間隔をここに来ると実感できる。
夏は緑がいよいよ濃くなり、月見草などの可愛い花たちが顔を出す。
濃い緑を見ていると心の奥までリラックスできるような、これこそ森林効果だと感じる癒しがあるのだ。

秋はミズナラ、桂などの木々が黄色からやがて赤に変わっていく美しい変化を見せつけられる。
紅葉が色濃くなっていく時期にこの温泉に行くと、日本には四季があるのだと深く実感され、四季を深く感じることのない都会に住む我々にとって、心の選択ができる時間になると思う。

雪山

冬、信州の山奥にある温泉は白い世界に変わるが、そこにも命を深く感じる楽しい出会いがあるのだ。
運がよければカモシカに出会うこともあるし、可愛い野兎がぴょんぴょんとはねる姿を見る事ができる。
冬の白骨温泉はまるで水墨画のような景色になるが、そこにこうした来客があるとより一層命を感じる時間となるのだ。

白骨温泉は東京から車で中央道から長野道で2時間30分程度、松本ICから湯川渡を通り1時間ほどで到着する。
電車で行く場合、長野新幹線松本まで2時間50分、そこから松本電鉄線に乗り新島々まで30分、新島々からバスで70分、タクシーで50分くらいかかる。
車があるならマイカーで行く方が便利な場所だが、のんびりお弁当を食べつつ電車の旅もいいものだ。