福島で喜多方ラーメンを味わう

屋台の味がそのまま受け継がれた喜多方ラーメン

福島県の喜多方ラーメンは食糧難の時代に町を回った支那そばが発祥だ。
人口に対してラーメン店の数が日本一である喜多方では、どこにでもラーメン屋を見つけることができる。

しかし守らなければならない味の定義がない喜多方ラーメンは、麺の太さからスープの味まで店舗によってさまざまだ。
共通点はモチっとした太麺のちぢれ麺を使用していることである。
120店にも及ぶその喜多方ラーメン屋から厳選した3店舗をご紹介したい。

喜多方ラーメンで最も古い歴史を持つ源来軒

食糧難だった時代、喜多方ラーメンは屋台から始まった。
その屋台店主が源来軒の初代店主となり喜多方ラーメンの普及に尽力したのである。

その伝統の味を守り受け継いでいるラーメンの中で人気なもののひとつが今回注文したネギラーメンだ。
鶏ガラや豚ガラのほか10種類以上の野菜を寸胴で長時間煮込むことでコクと味わいがあるのにサラッとしたスープが出来上がるようである。

麺とスープの上のネギはシャキっとした歯ごたえで、細切りチャーシューと麺と一緒に食べる食感は申し分ない。
スープの旨味は太いちぢれ麺に良く絡んで食べるほどに味わいが膨らみ、箸が止まらなくなる一品といって間違いないだろう。

朝ラーの喜多方ラーメンまこと食堂

あまりなじみのない言葉だが「朝ラー」という習慣が喜多方では一般的である。
朝からラーメンを食べるこの習慣の起源には諸説あるようだが、朝の早い農家の朝食として始まった文化らしい。

現在朝ラーを売りにした喜多方ラーメン屋は15件ほどあるが、そのなかのまこと食堂は紹介しておきたい店舗である。
まこと食堂は戦後まもなく創業、現在3代目となる老舗ラーメン屋である。
朝7:30開店のまこと食堂には6:00から人が待つことも珍しくないほどの人気がある。

早速人気メニューの大盛チャーシュー麺を注文した。
喜多方ラーメンならではのちぢれ麺には煮干し豚骨からうまみをとりつつ煮詰まっていないさっぱりとしたスープがよく絡む。
チャーシューも薄切りで女性でも食べやすいほどの厚さとなっているから朝からすんなりラーメンが食べられるのだ。
旨味が強く、さっぱりと朝から食べられる喜多方ラーメンとしてまこと食堂は一度試しておくことをお勧めしたい。

みそ味の喜多方ラーメンなら大喜

醤油味を連想させる喜多方ラーメンの中でみそ味に定評があるのが70年の歴史を誇る大喜だ。
信州みそを3種類合わせた味噌と豚骨と野菜で作られたスープはあっさりで、食欲が沸く。

食糧難の時代をそのままに伝える喜多方ラーメンには卵が乗らないのが一般的だ。
しかし大喜の味噌ラーメンには卵はもちろん、分厚くトロトロのチャーシューとネギが乗る。

なんでも味を追求した店主が各地に修行に出かけて従来の喜多方ラーメンを進化させたものを提供しているようだ。
受け継がれた喜多方の伝統とラーメンの名所の味の融合もまたここでしか食べることのできない味である。