豊富な塩分を含む泉質の「和倉温泉」

1200年もの歴史がある和倉温泉の特徴

北陸の名湯和倉温泉は、開湯1200年の歴史を誇る国内屈指の名湯である。
伝承によれば今から1200年前、突如として温泉が湧き出たことからその後癒しの温泉として人々に愛されるようになったそうだ。
ところが1000年ほど前に発生した変動により、源泉が海底に移動し温泉は一時姿を消してしまう。
その後ある漁師が漁をしている最中に白鷺が傷を癒しているのを見つけ、温泉が再び湧いているのを発見した、これが現在の和倉温泉のルーツと言われている。

和倉温泉が賑わいを見せるようになったのは江戸時代に入ってからで、加賀藩主前田利長公が和倉の湯で病気を癒したことからその効能の高さが全国に知れ渡るようになり、安定した湯量を確保すべく沖合の源泉に湯島と呼ばれる埋立地が造成されたのである。
もともと和倉という言葉は使われておらず、当時は温泉が湧く海という意味の湧浦という言葉で知られていたそうだ。
ただ湧浦という言葉では書き損じが多いことから、その後和倉という名称にとって変わり、日本が高度経済成長期を迎えると和倉へ続く七尾線が電化され、湯治客が急増した。
北陸新幹線開業後、和倉温泉への利便性が向上したことから首都圏や関西圏など多くの地域から観光客が訪れ、日本屈指の温泉街として不動の地位を固めている。

温泉効能ー皇族が愛した癒しの湯

明治時代に東宮殿下(大正天皇)が和倉温泉を訪問され、それに合わせて御便殿と呼ばれる皇室向けの御休憩所が建設されると、皇族たちが好んで和倉温泉での静養を楽しまれるようになった。
これを機に和倉温泉の人気はさらに高まり数々の有名旅館が軒を連ねるようになったのである。

人々の心を魅了してやまない和倉温泉の泉質は、海底から噴き出る塩分を豊富に含んだナトリウム、カルシウム、塩化物泉である。
前田利長公の湯治の記録が示す通り、温泉には非常に高い殺菌効果があり、肌をツルツルにしてくれる美肌効果も同時に体験できる。
適応症として、リウマチ、神経痛、打撲、疲労回復効果があり、療養目的で湯治場を訪れる人も少なくない。
温泉は飲用も可能で貧血などの症状に効果があるとされている。

自然と融合した魅力あふれる温泉

和倉温泉に宿泊すると、目の前に広がる七尾湾の景色が目に飛び込んでくる。
夕暮れ時になると夕焼けが七尾湾全体をオレンジ色に染め、あまりの美しさに言葉を失ってしまうほどである。
和倉温泉で一風呂浴びたのち、海岸を散歩するのもよし、温泉街をぶらぶらしながら和倉の美食を楽しむのもよし、和倉温泉は本当の癒しを与えてくれるのだ。

和倉温泉でぜひ利用してほしいのが共同温泉だ。
地元の人も利用する和倉温泉総湯はホテルや旅館の温泉とは一味違った温泉が楽しめるからだ。