登別温泉の特徴
「白くにごっている」というアイヌ語から取られたのが、北海道の名湯「登別温泉」だ。
登別温泉の歴史は19世紀にまでさかのぼると言われている。
もともと登別には白濁とした温泉が沸いていたが、1850年代に入り、ある近江商人がこの地を温泉地として整備したのがきっかけである。
傷を癒やす温泉として当時人気を集め、日露戦争で負傷した兵士の湯治場になると、その名が日本全国で有名になった。
北海道の開拓と同時に、登別温泉は湯治場として多くの湯治客を集めるようになったのが鉄道の発展のきっかけである。
鉄道網が北海道に敷かれるようになると、登別温泉はこれまで以上にアクセスしやすくなり、日本中の温泉ファンが訪れる温泉地としてその地位を高めたのだ。
今でも日本各地から湯治客が数多く訪れ、北海道の雄大な景色と共に温泉を楽しむ観光客で賑わいを見せている。
登別は9つの異なる温泉が湧出しているため、1箇所でそれぞれ効能の異なる温泉を楽しめるという特徴がある。
これほど多くの種類の温泉が1箇所で複数湧出するのは、日本でも数少ないため、貴重な温泉地とも言えるだろう。
登別温泉の温泉効能
登別温泉には9種類の温泉が湧き出ているが、中でも代表的なのが、登別温泉の代名詞とも言える硫黄泉だ。
乳白色の温泉は硫黄成分を含み、体を温め、皮膚病にも効果があるとされている。
蒸気を吸い込むことで呼吸器系の疾患にも効果があり、気管支炎の緩和に役立つのも硫黄泉の効能だ。
塩化物泉はナトリウムを含んだ温泉で、保湿と保温効果のあるお湯である。
硫黄泉とは別に塩化物泉が沸いており、珍しい光景を目にすることができるのだ。
硫酸塩泉は血流を改善する効能があることから、高血圧の人におすすめの温泉である。
体全体の血流を改善するため、肩こりなどの緩和にも役立つのが嬉しい。
酸性泉はPHが低く殺菌力に優れた泉質のお湯だ。
皮膚疾患に効果があるとされており、皮膚疾患治療のために訪れる湯治客も少なくない。
お湯に浸かるとピリピリとした泉質が楽しめる。
ミョウバン泉は肌荒れを整え、美しい肌に変えてくれる美肌の湯としても人気のある温泉である。
殺菌効果もあり、肌のトラブルを改善する効果があるのもミョウバン泉の特徴だ。
このほかにも日本では大変珍しい酸性度の高い緑ばん泉や、美肌の湯としても知られる重曹泉、貧血に効果のある鉄泉があり、体の不調を整え、健康な体に導いてくれる効能がある。
登別温泉の魅力
登別温泉の魅力は大自然に囲まれた中で、変化の飛んだ温泉を楽しめることだろう。
秋の紅葉の時期は周りの美しい燃える山々を眺めながらゆっくりと湯に浸かれることだ。
温泉宿も多く、毎回違った楽しみ方が味わえるのが登別温泉ならではの魅力と言えるだろう。